2025年10月10日

相続コラム

家族が亡くなったらまず何をする？

いつも相続コラムをお読みいただきありがとうございます。
渋谷にある、相続に特化した税理士事務所「ちづる会計」の代表伊藤です。

このコラムでは相続に関する情報発信を行っています。
はじめての相続・急な相続にお悩みの皆様のお役に立てば幸いです。
事務所は渋谷区に位置していますが、もちろん渋谷区以外の方も、相続でお悩みの際はどうぞお気軽にお問い合わせください。

今回は「家族が亡くなったらまず何をする？」というテーマでお話しさせていただきます。

大切なご家族が亡くなられたとき、葬儀や関係者への連絡など、慌ただしい日々の中で「相続の手続き」は後回しになりがちです。
しかし、相続には法的な期限があり、対応を誤ると取り返しのつかない不利益を受けることもあります。
ここでは、亡くなった直後から相続税申告までの流れを、時系列でわかりやすく解説します。

1．死亡直後～7日以内に行う手続き

最初に必要なのが「死亡届」の提出です。
死亡地・本籍地・届出人の住所地のいずれかの市区町村役場に、死亡の事実を知った日から7日以内に提出します。
提出には医師が作成した死亡診断書が必要で、この届け出により「火葬許可証」が発行され、葬儀が行えるようになります。

葬儀が終わった後も、公的な手続きは続きます。
健康保険証や年金証書の返還、世帯主変更届などは速やかに済ませておくとよいでしょう。

2．遺言書の確認と相続人の確定

相続を始める前に、まず遺言書があるかどうかを確認します。
自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。
公正証書遺言であれば、検認は不要です。

次に、戸籍謄本を取り寄せて誰が相続人になるのかを確定します。
相続人の範囲や順位は民法で定められており、配偶者は常に相続人、子・直系尊属・兄弟姉妹などが順に対象となります。
この時点で相続人全員を把握しておくことが、後のトラブル防止につながります。

3．財産と負債の調査

相続の対象となる財産を調べる段階です。
預貯金、不動産、株式、保険金だけでなく、借入金や未払い税金などの負債も含まれます。
相続人は、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことになるため、慎重に確認しましょう。

もし「借金が多いかもしれない」と感じた場合は、次の段階で行う相続放棄や限定承認の検討が重要です。

4．相続放棄・限定承認（3か月以内）

相続人は、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に、
「単純承認（すべて引き継ぐ）」「限定承認（財産の範囲で負債を清算）」「相続放棄（すべて放棄）」
のいずれかを選択します。

早めの判断と専門家への相談が欠かせません。

5．遺産分割協議と名義変更（目安：3～6か月）

相続人全員で、財産をどのように分けるかを話し合います。
話し合いがまとまったら「遺産分割協議書」を作成し、全員が署名押印します。
協議書をもとに、

預貯金の名義変更
不動産の相続登記
株式や保険金の請求

などの手続きを行うことになります。

6．相続税の申告・納付（10か月以内）

相続税がかかる場合は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付を行います。
相続税は原則として現金一括納付ですが、期限内に納付が難しい場合には「延納」や「物納」の制度もあります。

申告書は被相続人の住所地を管轄する税務署へ提出します。
財産の評価や特例の適用などは専門的な判断が求められるため、税理士に依頼することで正確かつ効率的に手続きを進められます。

参考：国税庁「No.4202 相続税の申告のために必要な準備」

7．相続後のアフターフォロー

相続が完了した後も、遺産分割の内容に基づいた財産管理や、不動産の固定資産税の納付、二次相続（配偶者の死亡時）への備えなど、継続的な対応が必要です。
また、相続登記後の権利証・契約書類は大切に保管しておきましょう。

まとめ：期限を意識して、早めの準備を

相続の手続きは、葬儀が終わった後から始まる長いプロセスです。
特に「3か月以内の相続放棄・限定承認」と「10か月以内の相続税申告」は重要な期限です。

これらを一人で進めるのは大変ですので、早めに専門家へ相談するようにしましょう。

今回は「家族が亡くなったらまず何をする？」というテーマでご説明させていただきました。
急な相続や初めての相続でご不安な方はぜひ一度、ちづる会計までご相談ください。
渋谷区以外の方も下記のお問い合わせフォームよりご遠慮なくご相談ください。

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この記事を書いた人

ちづる会計

税理士　伊藤千鶴

・複数の税理士法人、経済産業省で勤務をした後、独立しました
・中小企業の顧問、個人の相続・確定申告を中心に業務をしています
・福島県生まれ
・子供のころの夢は、小学校の先生でした
・苦手なことは、人前に出ること
・尊敬するひとは、手塚治虫です