コラム

相続手続きで見られる3つの落とし穴

渋谷にある、相続に特化した税理士事務所「ちづる会計」の代表、伊藤です。
このコラムでは相続に関する情報発信を行っています。
相続にお悩みの皆様のお役に立てば幸いです。
もちろん渋谷区以外の方も、相続でお悩みの際はどうぞお気軽にお問い合わせください。

今回は「相続手続きで見られる3つの落とし穴」というテーマでお話しさせていただきます。

相続手続きは「家族で話し合って決めれば大丈夫」と思われがちですが、実際には思わぬミスや見落としがトラブルにつながることがあります。
特に、財産の調査不足や安易な預金の引き出し、相続税の特例を使い忘れると、後から修正がきかないケースも少なくありません。
ここでは、3つの失敗例と、その防止策についてご紹介します。

1.財産の調査が不十分だった

相続の第一歩は「被相続人の財産を正確に把握すること」です。
しかし、これを軽視してしまい、後から新たな財産や借金が見つかるというケースがあります。

たとえば、

  • 使っていない口座に預金が残っていた
  • 古い証券口座に株式があった
  • 借入金や保証債務が判明した


といった事例は珍しくありません。

財産の調査は、相続税の有無や相続放棄の判断にも直結します。
また、相続人全員で協議を行うためには、すべての財産をリストアップして共有することが不可欠です。

調査の際は、次のような方法が有効です:

  • 通帳・キャッシュカード・郵便物を確認する
  • 銀行や証券会社に「残高証明書」を請求する
  • 不動産については登記簿・固定資産税通知書を確認する
  • 生命保険や年金、未収入金も漏れなく調べる


最近はデジタル口座やネット証券も増えているため、パソコンやスマートフォンの履歴確認も重要です。
財産調査を丁寧に行うことが、相続のトラブルを未然に防ぐ第一歩になります。

参考:国税庁「No.4105 相続税がかかる財産

2.預金を勝手に引き出してしまった・相続税の申告が遅れた

葬儀費用や生活費の支払いのために、被相続人名義の預金を相続人の判断で引き出してしまうケースが見られます。
しかし、相続人の一部が無断で預金を動かすと、後々「遺産の使い込みだ」と他の相続人から指摘され、トラブルになることがあります。

本来、被相続人の預金は相続人全員の共有財産です。
そのため、銀行では基本的に口座が凍結され、払戻しには相続人全員の同意が必要です。
ただし、2020年の民法改正により、一部の払い戻しができる制度が設けられています。

この制度を利用すれば、相続人一人あたり最大150万円まで払い戻すことが可能です。

また、財産調査や分割協議に時間を取られてしまい、相続税の申告期限(10か月以内)を過ぎてしまうこともあります。
期限を過ぎると延滞税や加算税が課されるだけでなく、適用できる特例を受けられない可能性もあります。

したがって、

  • 相続が発生したら、まず税務署または税理士に相談する
  • 財産の内容を早期に確定する
  • 期限を意識してスケジュールを立てる

ことが重要です。

3.特例(小規模宅地・配偶者控除など)を使い忘れた

相続税には、上手に活用すれば税負担を大幅に減らせる特例制度が多数あります。
しかし、制度を知らないまま申告を行い、本来受けられる控除を逃してしまうケースが多いのです。

代表的な特例には、次のようなものがあります。

配偶者の税額軽減

配偶者が取得する財産が「1億6,000万円」または「法定相続分」のいずれかまで非課税になります。
申告をしなければ適用されないため、注意が必要です。

参考:国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減

小規模宅地等の特例

被相続人の自宅や事業用の土地について、一定の条件を満たすと最大80%の評価減が受けられます。
ただし、「誰が」「どの土地を」相続するかによって要件が異なります。

これらの特例は、適用要件や書類が複雑なため、専門家による確認が欠かせません。
相続税の負担を抑えるためにも、早い段階で税理士に相談し、適用できる制度を確認しておくことが大切です。

まとめ:正確な情報と早めの行動が、相続成功のカギ

相続の失敗は、「知らなかった」「後回しにした」が原因で起こります。
財産の全体像を早めに把握し、預金や税金の取り扱いを慎重に進めることが、家族の円満な相続への近道です。

相続は一生にそう何度も経験するものではありません。
不安や迷いがあるときは、専門家へ早めにご相談ください。

今回は「相続手続きで見られる3つの落とし穴」というテーマでご説明させていただきました。
急な相続や初めての相続でご不安な方はぜひ一度、ちづる会計までご相談ください。
渋谷区以外の方も下記のお問い合わせフォームよりご遠慮なくご相談ください。

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この記事を書いた人

ちづる会計
ちづる会計
税理士 伊藤 千鶴

・複数の税理士法人、経済産業省で勤務をした後、独立しました
・中小企業の顧問、個人の相続・確定申告を中心に業務をしています
・福島県生まれ
・子供のころの夢は、小学校の先生でした
・苦手なことは、人前に出ること
・尊敬するひとは、手塚治虫です