コラム

【相続でもめないために】家族で確認しておきたいこと

渋谷にある、相続に特化した税理士事務所「ちづる会計」の代表、伊藤です。
このコラムでは相続に関する情報発信を行っています。
相続にお悩みの皆様のお役に立てば幸いです。
もちろん渋谷区以外の方も、相続でお悩みの際はどうぞお気軽にお問い合わせください。

今回は「【相続でもめないために】家族で確認しておきたいこと」というテーマでお話しさせていただきます。

相続のトラブルは、“お金持ちの家庭だけの話”ではありません。
一般のご家庭でも、遺産の種類や兄弟姉妹の関係性によっては、思わぬ行き違いから争いに発展してしまうことがあります。

しかし、相続の問題は、ご家族が元気なうちに少し話し合いをしておくだけで、多くを防ぐことができます。
この記事では、ご家族が健在な段階で「確認しておくと安心なこと」をご紹介します。

1.家族の“財産の全体像”を把握しておく

相続でもめる大きな理由は、
「何がどれだけあるかを家族が把握していない」
ことにあります。

特に多いのは次のケースです。

  • 銀行口座が複数あり、どこにいくらあるのか誰もわからない
  • 株式や投資信託など、家族が知らない金融商品がある
  • 生命保険があるかどうか分からない
  • 実家以外にも不動産を持っているが詳細が不明

すべてを正確に管理する必要はありませんが、

  • メインの銀行
  • 不動産の場所
  • 加入している保険の有無
  • 借入(住宅ローンなど)の有無

この4つだけでも共有しておくと、相続手続きがスムーズになり、不要な疑いを生みにくくなります。

2.家族が希望する“遺言書”の有無を確認する

相続トラブルは遺言書がないことが原因と言われます。

たとえば…

  • 「長年介護してくれた子に多めに渡したい」
  • 「配偶者の生活を守りたい」
  • 「子ども同士が不仲なので公平にしたい」


など、ご本人の明確な意思がある場合は、遺言書を作成しておくことで、将来の揉め事を大幅に防ぐことができます。
特に、

  • 再婚家庭
  • 不動産が主な財産の家庭
  • 兄弟が疎遠な家庭


では遺言の効果が大きいです。
遺言書の作成は「まだ早い」と感じがちですが、ご本人がしっかり判断できるうちに作成することが大切です。

3.“実家の不動産”をどうするか話し合っておく

相続で最も揉めやすいのは、「お金」よりも「不動産」です。

  • 実家を誰が相続するのか
  • 売却するのか、残して誰かが住むのか
  • リフォーム・解体が必要な場合の費用はどうするか


これらの話は、お葬式の後に急に決めようとすると、兄弟間で意見がぶつかることが多くあります。

事前に方向性を決めておくことで、相続後の手続きがスムーズになり、感情的な対立を避けられます。

4.介護に関わっている・いない家族の気持ちを確認する

介護を担ってきた子どもと、遠方であまり関われなかった子どもとの間には、知らず知らずのうちに「不公平感」が生まれることがあります。

  • 介護を担当している子は「少し多めに相続したい」と思う
  • 関わっていない子は「平等に分けるべき」と考える


このような意見の違いは珍しくありません。
そのため、生前にお互いの気持ちを話し合っておくことで、後々の誤解や不満を避けることができます。
必要に応じて、専門家を交えて“家族会議”を行うのも効果的です。

5.“葬儀の希望”を共有しておく

葬儀の規模や方法について家族の希望がバラバラだと、その負担や費用をめぐって揉めることがあります。

  • 家族葬にするか、一般葬にするか
  • お寺や菩提寺はどうするか
  • 費用負担は家族でどう考えるか


事前に方向性を決めておくことで、葬儀の準備が落ち着いて進み、その後の相続手続きにも心のゆとりが生まれます。

6.「専門家に相談する窓口」を家族で把握しておく

相続は、法律・税金・不動産など多くの分野が絡むため、「誰に相談すればいいか分からない」という方も多くいらっしゃいます。
家族で次のような点を共有しておくと安心です。

  • 相談できる税理士や司法書士の連絡先
  • 不動産に詳しい専門家の有無
  • 葬儀会社・寺院の窓口


万が一のときにも、家族が迷わず相談できる体制ができていると、手続きの負担は格段に軽くなります。

まとめ

相続は「誰がどれだけ受け取るか」というお金の問題だけではありません。
家族の将来をどう守るかという大切なテーマです。
お葬式の前、つまり家族が元気なうちに

  • 財産の状況
  • 遺言書の有無
  • 実家の扱い
  • 介護の負担
  • 葬儀の希望
  • 専門家の窓口


これらを話し合っておくことで、相続のトラブルは大きく減らせます。

「まだ早いかな」と感じるかもしれませんが、元気なうちにこそ話せることがたくさんあります。
ご家族みんなが安心して未来を迎えられるよう、ぜひ一度、家族でゆっくり話し合う時間を作ってみてください。

今回は「【相続でもめないために】家族で確認しておきたいこと」というテーマでご説明させていただきました。
急な相続や初めての相続でご不安な方はぜひ一度、ちづる会計までご相談ください。
渋谷区以外の方も下記のお問い合わせフォームよりご遠慮なくご相談ください。

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この記事を書いた人

ちづる会計
ちづる会計
税理士 伊藤 千鶴

・複数の税理士法人、経済産業省で勤務をした後、独立しました
・中小企業の顧問、個人の相続・確定申告を中心に業務をしています
・福島県生まれ
・子供のころの夢は、小学校の先生でした
・苦手なことは、人前に出ること
・尊敬するひとは、手塚治虫です