相続税の申告に必要な準備とは?

渋谷にある、相続に特化した税理士事務所「ちづる会計」の代表、伊藤です。
当コラムをお読みいただきありがとうございます。
このコラムでは相続に関する情報発信を行っています。
相続にお悩みの皆様のお役に立てば幸いです。
もちろん渋谷区以外の方も、相続でお悩みの際はどうぞお気軽にお問い合わせください。
今回は「相続税の申告に必要な準備とは?」というテーマでお話しさせていただきます。
誰かが亡くなったとき、その人が残した財産を家族などが受け継ぎますが、受け継いだ財産の金額が一定以上であれば、「相続税」を支払う必要があります。
このとき、「相続税の申告」を行います。
具体的には、「誰が・どのような財産を・どれくらい受け取ったか」などを記載した書類を、税務署に提出します。
この申告には期限があり、正確に進めるためにはしっかりとした準備が必要です。
1. 相続人の確定
まず最初に行うのが、相続人(財産を受け取る人)が誰なのかを明確にすることです。
これは戸籍謄本を集めることで確認できます。
主な相続人は、配偶者、子ども、親や兄弟姉妹です。
相続人が誰になるかによって、相続できる割合や適用できる税制も変わるため、最初に正確に把握することが大切です。
2. 遺言書の有無の確認
相続人の確認後は、遺言書があるかどうかを確認しましょう。
公正証書遺言は公証役場で検索できます。
自筆証書遺言が見つかった場合は家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です。
なお、公正証書及び法務局に保管された自筆証書による遺言は検認を受ける必要はありません。
3. 財産と債務の調査
次に、亡くなった人がどのような財産を持っていたのかを調べて一覧にします。
これを「財産目録」といいます。
【主な財産の種類】
- 現金・預金
- 土地・建物
- 株式・投資信託などの金融資産
- 生命保険金
- 自動車や貴金属などの動産
【負債(マイナスの財産)も忘れずに】
- 借金、ローン
- 未払いの税金や医療費
- 葬儀費用
債務は領収書などで確認をしますので、保管をしておくようにします。
4. 財産の評価
相続税法と財産評価基本通達により、各財産の相続開始時の時価がいくらになるのかを評価します。
たとえば、銀行の預金であればそのままの残高ですが、土地は「路線価図」や「評価倍率法」により評価します。
評価方法を間違えると税額が大きく変わってしまうため、専門家(税理士など)に相談するのが一般的です。
5. 遺産分割協議(話し合い)
一般的に、遺言書がある場合には遺言書によりますが、遺言書がない場合には、遺産分割協議を行います。
遺産分割協議とは、相続人全員で「誰が何をどれだけ受け取るか」を話し合うことです。
話し合いで決まった内容は「遺産分割協議書」という書類にまとめ、全員が署名し、実印を押します。
この書類は相続税の申告や不動産の名義変更などに使われます。
協議がまとまらず、遺産分割できなかったときには、法定相続分で相続財産を取得したものとして相続税の申告をすることになります。
6. 相続税申告書の作成と提出
相続税の申告は、被相続人が死亡した日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
相続税の申告書には、以下のような内容を書きます。
- 誰がどの財産を受け取ったか
- 財産の評価額
- 税額の計算
- 控除の内容(基礎控除、配偶者の税額軽減など)
申告書は、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署に提出します。
この期限までに相続税も納めなければならないため、資金の準備も並行して進めておく必要があります。
7. 納税の方法
相続税の納税は、基本的には現金で一括払いです。
そして、申告書の提出期限までに納めるのが原則です。
ただし、財産の大部分が不動産などで現金が少ない場合、以下の制度が利用できます。
延納: 何年かに分けて分割で納める
物納: 不動産などで納める(条件あり)
これらを利用するには、税務署に申請書などを提出して許可を受ける必要があります。
参考:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
まとめ
相続税の申告には、多くの準備と正確な手続きが必要です。
大まかな流れを整理すると以下の通りです。
- 相続人の確定
- 遺言書の有無の確認
- 財産と債務の調査
- 財産の評価
- 遺産分割の話し合いと協議書作成
- 相続税申告書の作成と提出(10か月以内)
- 納税と資金の準備
相続税の申告は法律や税金の知識が必要になるため、一般の人がすべて自力で行うのは難しいこともあります。
迷うときには、税理士や司法書士などの専門家に早めに相談するようにしましょう。
今回は「相続税の申告に必要な準備とは?」というテーマでご説明させていただきました。
急な相続や初めての相続でご不安な方はぜひ一度、ちづる会計までご相談ください。
渋谷区以外の方も下記のお問い合わせフォームよりご遠慮なくご相談ください。
この記事を書いた人

- 税理士 伊藤 千鶴
・複数の税理士法人、経済産業省で勤務をした後、独立しました
・中小企業の顧問、個人の相続・確定申告を中心に業務をしています
・福島県生まれ
・子供のころの夢は、小学校の先生でした
・苦手なことは、人前に出ること
・尊敬するひとは、手塚治虫です
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